おれの体重は何キロだ?




2005 年 10 月 02 日(日)
御前崎菊川河口
晴れ
Sail:CORE 5.3(NEIL PRYDE) Board:NG ACP 255
Sail:CORE 5.3(NEIL PRYDE) Board:NG ACP 260



 果してエンジンがかかるのか、不安だった。
 いや、その前に駐車場に車はちゃんとあるんだろうか。三ヶ月ほど、乗っていない。いきなり、菊川までロングランできるんだろうか。だいたい、ウィンドの道具はだいじょうぶなんだろうか。夏の間に、車中の熱で壊れてしまっているかもしれない。
 セッティングだってできるものだか、とてもあやしい。
 そもそも身体は動くのか。


 ひさしぶりの西風予報の★だったので菊川は混むかもと思っていたのだけれど、あにはからんや。サーファーの集団がいたぐらいだった。それでも時間がたつにつれ、人が集まってくる。それでも駐車場は空いていた。冬場とは大違いだ。
 気温も高く、この時期なら水温も暖いはずだった。
 ラッシュガードにウェットスーツ地の短パン。たんにショートジョンのウェットスーツを持たないからなのだが。
 真っ先にセッティングし、一番乗りで海に入る。
 で、流された。


 風はサイドオン――かなりクロスオンぽい感じだった。
 強めの風で、セイルサイズは4.7と迷って5.3を選んだ。板はNG ACP 255を出す。
 ビーチスタートした瞬間、ふくらはぎの筋肉がぷるぷると震えるのがわかった。全身の筋力がすっかり衰えてしまっていて、セイルにしろ、瞬間的にしか引きこめない。すぐにハーネスをかけるしか手がなく、ちょっとでもラフしてしまうとそのまま、沈してしまう。板が沈んでしまっているということもある。
 波はあまりなかったが、あまり経験したことのない海面だった。今、思えば、台風19号のうねりが届いていたせいかもしれない。割れないうねりででこぼこしている感じだった。沖合いできれいにセットで割れることもあった……。


 風下に漂着し、いったん、駐車場へ戻る。
 想像以上に身体が動かない……。
 水分を補給してNG ACP 260をセットして運んだ。板の浮力にたよってなんとかアウトまで出る。アウトの本日一発目のジャイブは成功した。おんやぁ、成功しちゃったよ、という感じ。インへと戻るが、いつものように波が割れるあたりで風がふれ、出艇したところよりも風下に到着してしまった。
 わー、どうしよう。風上へ戻れないよ。
 二回目の再出艇で、一気にフルプレーニングでアウトまで駆け抜け、高さをかせいでインへと戻る――今度は排水口の風上まで到着した。
 そこで道具をビーチへ上げて、風下へ置いてきたNG ACP 255をとりにいった。


 休み休みNG ACP 260で乗る。
 ほとんど波と波のあいだをスピードにまかせて駆け抜けるスラロームのような乗り方だった。そのうち、少しだけ風が上がってきた。
 偶然、沖で割れるセットの波にタイミングがあう。
 気づいたときには波が崩れはじめていた。肩上ぐらいの波。スープがどんっと崩れて、風向きのせいもあって背中に迫ってきた。やべー、と思いながらも波のパワーを感じたくもあり、スープの縁を走る。波は長くつづいていた。スープになる瞬間の波のトップにバックサイドで当てこんでみたかったが、オーバーフローぎみの板と自分の体力、反射神経が不安で、ふれなかった。悔しい。
 その鬱憤晴らしに脛サイズの波にバックサイドであてて、あてて、最後にチョップジャンプ。うーん。全然、身体が動いてない。


 風が充分なような気もしたので、NG ACP 255にボードチェンジ。
 ビーチスタート。板は沈み、ずるずると波越え。やっぱりだめか――と思った瞬間だった。前方で崩れかけている波に――波の中に不思議なものを見た。
 何かの本で読んだのだと思う。
 地球上の生命で波乗りをするのは人間とイルカだけだ、と。
 ところが7、8匹のボラぐらいの魚が波のリップのところで、魚影がまるでサーファーがテイクオフするようにしているのが見えた。ドキュメンタリー映画で波の斜面で遊んでいるイルカの群れを見たことがあるが、それにそっくりだった。
 たまたま、そういう状況になった魚影を見ただけなのか、とも思ったが、そのあとも同じようなシーンを何度か目撃した。しかもドキュメンタリー映画でのイルカのように、魚は水面から飛び跳ねたりしていたのだ。
 ぼくには魚も波乗りをして楽しんでいるようにしか見えなかった。
 水流に向かって本能的に泳いでいるだけだとしても。


 板はNG ACP 260に戻してセイリング。
 二度ほどフロントにふり、スープにあてこんだところで弾かれてしまう。
 三時になってきたところで、そろそろ上がろうか、と迷いはじめる。身体はきついし、風も弱くなってきた。満ち潮の影響か、海面はぼこぼこしていた。
 腕組みし、海を見つめ、どうする、としばし考えた。
 陽も高く、暖かく、まだ、充分、乗れる。こんな日がそうそうあるとは限らない――が、セイルのメインパネルが破れていることを発見してようやく踏ん切りがついた。
 しかたない。
 上がる。
 波に巻かれたときに板とマストで頭を挟まれて、打った耳が痛いこともあるし。耳は腫れてしまうかもしれない。


Return To HomePage | Return To List Page

Takehiro Yamada