へろへろ




2005 年 4 月 17 日(日)
御前崎菊川河口
晴れ
Sail:CORE 5.3(NEIL PRYDE) Board:NG ACP 255
Sail:ZONE 4.7(NEIL PRYDE) Board:NG ACP 255



 うれしいことにNG ACP 255を出せそうなコンディションだった。


 十時にはサイドオンの風が吹き上がりはじめ、その影響か、膝腰ぐらいの波もあった。5.3 のセイルをセレクトしたが、アウトではオーバーだった。一発目のゲッティングアウトで大きめの波にあわせてジャンプ。ふわりとした浮遊感――。着水も成功し、そのまま、沖までいってジャイブして帰ってきた。
 すぐビーチに上がったのはその一本だけで息が上がってしまったからだ。
 昨日のウィンドの疲れがたっぷりと残っていた。


 十分程度、海にいては同じくらいの時間、ビーチで休む。
 そんなことをくりかえした。本当は連続して乗った方が楽なのだとも思う。ビーチスタートして波越えしていくのが、一番、疲れる。とくにNG ACP 255は浮力がないので、膝ぐらいの深さではフィンが海底を擦ってしまう。それより深いところまで行くと今度は波が崩れてくる。難しいところだった。
 風があるせいだろう。カレントも速かった。


 一時前にはすでにもう今日はこれで充分じゃないか、とつぶやいていた。


 風向きのせいもあって今日はバックサイドのウェイブライディングに向いていた。
 それなのにどうしてフロントにふろうとするのか。ぼく程度の腕で。
 うまい人たちのフロントサイドもさすがに精彩を欠いていたのだ。波のトップまでもっていってから板が返せるのはさすがだったけれど。やはりぼく程度の腕でフロントにふろうというのはおこがましい限りだった。
 風が上がり、それに影響されて波のサイズも上がってきた。
 沖はうねりを越えるだけで舞いかけるほどのコンディション。


 一本、シフトしていない大きめの波をつかまえた。まだ、うねりのところで早目に動き、ボトムへ一気に下ったらオーバーパワーだった。能力を越えていた。波のギャップで弾かれ、セイル手をもぎとられた。跳ね上がった板が着水するときの衝撃に、一瞬、足首を捻挫したか、と思ったほどだった。
 そこでさらにふっ飛んでいたらひどい目にあっていたかもしれないが、反射的にセイルをつかみ直すことができて事なきを得る。浮力のある板だったら水面に叩きつけられていたにちがいない。
 かなりびびった。
 そのことがあってようやく今日はバックサイド向きだということに気づいた。


 休み休み乗る。


 ちょっと大きいな、と思った波でジャンプしたら、波の向こう側がやたらと掘れていて空中で思わず奇声を上げてしまった。歓声なのか悲鳴なのか自分でもわからなかったが。


 インサイドで腹胸の波を見つけた。
 ちょうどバックサイドにふれるタイミングだった。
 ゲッティングアウトしてくるセイラーがいたが、波が崩れる個所を避けるため、風下へやや落としている。フロントだとそのセイラーに衝突してしまうが、バックサイドならOKだ。それに波のピークはバックサイド側にあった。
 バックサイドでボトムターンして波のトップで板を返した。
 一瞬、動きが止まったような感覚のあと、崩れる波とともにボトムへ落ちていった。
 快感よりも恐怖感の方が大きかった。
 パーリングしないことだけを祈っていた。


 沖でのオーバーセイルが半端ではなくなってきたのでセイルを駐車場へ運び、4.7 を張り直す。が、4.7 + NG ACP 255 のセットでゲッテイングアウトしてみると、それでも沖ではオーバーだった。多少、楽になっただけでセイルを開いてしかセイリングできない。
 当然、板は跳ねまわる。
 当然、へろへろ。
 ふらふらしながらビーチに道具を引き上げ、そのまま、砂浜に大の字になった。
 地面が大きく揺れていた。
 頭がぐらぐらした。
 空には白い月が見えた。


 体力は限界だったが、まだまだ陽は高く、撤収するにはあまりにも早すぎる。どうせ、大して乗れないくせに、ふんぎりつかずに、女々しくもさらに一往復。戻ってきて道具を上げようとしてマストに違和感を覚えた。
 マストのジョイント部分がきちんとはまっていなかったのだ。
 こんな状態ではマストを折ってしまうかもしれない。
 セットし直すという考えはあえて無視して撤収のために道具を駐車場へと運ぶ私だった。


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Takehiro Yamada