
リターン
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2003 年 11 月 24 日(月)
三浦菊名海岸
晴れ
Sail:CORE 5.7(NEIL PRYDE) Board:WAVE265(MISTRAL)
四日目の朝がきた。
今日、ウィンドできれば、四日連続でウィンドだ。はじめてのことかもしれない――調べてみたら新婚旅行のときにヨロンで四日間、ウィンドしていたが。
実連事務所に一泊し、目をさますと、I田さんの姿はすでになかった。轟々と眠っているのはSさんとUっちーだ。近所のジョナサンにモーニングを食べに外に出る。わー、吹いてるよ。なんで?
謎だ。
なんか思うのだけれど、いい加減な西高東低になったときに三浦は吹かないか?
きっちりと西高東低の冬型が決まると、御前崎からの西風にふんづまって、まったくのいい天気のときが多いような気がする。
吹いてるとはいえ、フォーミュラ・コンディションという感じ。
モーニングを食って帰ってくると、少し風は上がってきている。津久井浜の方ではセイルががんがん行ったり来たりしている。スラローム・コンディションか?
菊名海岸も風下側から結構な艇数、出艇しているが、あまり走っていない。でもセイルは思ったよりも小さいセレクトのようだ。いわゆる三浦マジックというやつで、午後まで風が吹き上がってくるというパターンもありそうな話。
昨日、NG 260 は壊してしまったので、出す気になれず――それでも応急処置はした――Sさんにたのんでテクノを貸してもらう。Sさんは風のよさそうな津久井浜へ移動するという。あとで、戻ってきてね、とたのんでさてセイルを張ろうかな……あれ?
白波が風上の方から近づいてくる。
吹き出した。
一瞬、5.2m2 の風になったが、さすがにそれは長くはつづかなかった。
6.7 ではないことは一目瞭然なのだが、5.7 では少し足りないかも。とくに板は WAVE265 になる。浮力がたりないかもしれない。だめだったら NG 260 をだそう、と考え、セッティング。
5.7 + WAVE265 で出艇。インサイドはガスティ。ブローがはいった瞬間、弾けるように走り出した。オーバーだ。しかもハーネスラインの位置が前すぎる。ジャイブしてビーチに戻って位置を調整。そして、出た。なんとか、沖ノ島の風上側を抜けたけれど、ブローがうまくはいってこない。
うーん、なんか調子が悪い。
ブローにあわせてパンピングしたりするのだが、うまくプレーニングにはいれない。微妙に風がアンダーで、腕前があれば、プレーニングできるだろうに、という感じだ。ジャイブは右も左もめたくそ。何度か沈するうちに、ウォーターができなくなるぐらい風が落ちてしまった。
気づくと、昨日、Uっちーが道具トラブルで上陸したという金田湾の海岸が近づいてくる。
――今日はおれか。
それだけは勘弁してくれ。菊名海岸では流されたことはまだ、ないんだ――必死でブローでウォーターし、ノンプレーニングでじりじりと上ろうとする。何度も何度も往復する。一往復で三メーターほど、風上に移動している。沖ノ島よりも風上のラインにたどりつくには一時間以上かかりそうだ。
ひとつには風向きが昨日と微妙にちがうというのもある。
沖合いはサイドっぽいのだが、岸に近づくと――鉄柱があるあたりよりもインにいくと、風が振れ、オフショアっぽくなるのだ。だから鉄柱を越えたあたりから急激に目標の沖ノ島から下っていってしまう。
ようやく鉄柱=定置網のラインを越えるところまできた。
苦労したな、と思っていたらブローがはいりはじめ、いきなりプレーニング。沖に延して戻ってきたそこはもう沖ノ島の風上側だった。
今のうちに、と沖ノ島のかたわらを抜けて菊名海岸に戻る。
Uっちー、T橋くんと雑談しながら栄養補給。I田さんはまだ、海の上だという。タフだなぁ。でも海はさっきとちがって風が吹いていた。
三浦マジックならそろそろ、風が落ちはじめる時間なのだが――なにやら今日一日、吹きそうな雰囲気になってきた。本当になんで吹いているんだろう。
海に戻る。
沖合いへでていく。途中でT橋くんに抜かれた。さすがに向こうの方がプレーニングにはいるのは早い。思い切り下らせて走らせてからT橋くんのうしろを追う。さすがに重量級。走る後ろ姿に迫力がある。もうすこし板から体重が抜けるといい感じだ。あれだとチョップの影響をうまく逃せないような気がする。
さいわい強めの風がはいってきた瞬間だったので、ぼくの方もフォームを固め、艇速を上げる。T橋くんの引き波を横断して風上側のラインへ。ついてはいける。それにしてもT橋くんはちゃんとジャイブできるんだよなぁ。はじめて五年未満の人間がジャイブできちゃ、いかんよ。
沖ノ島近辺のラインで往復していると、I田さんがあらわれた――向こうにしてみたらぼくの方があらわれたんだろうな――。ミートするたびに、なんかやんなきゃ、とジャンプを試みてみるが、うまくない。板を宙に引き上げることができない。風上に向かって飛び出していることもあるけど、すっかり感覚を忘れてしまっている。当然、今日もジャイブは絶不調だ。沈しまくり。というよりうまくカーヴィングしていかない。
何回か、基本に戻ろうと思ってレイルトゥレイルをしてみるが、思い出せない。
本当にぼくはジャイブができていたのか――そんな気になってくる。夢を見ていたのではないか?
急におなかが痛くなってあわてて海岸へ戻ると、唸りながら事務所へ向かう。庭ではI田さんとUっちーは道具を水洗いしていた。もう上がるのだという。ぼくはそれどころではなく、事務所にはいってドライスーツを苦しみながら脱ぐとトイレにはいった。
それからふたたび、濡れたドライスーツを着るのはとても大変だった。
ほっとすると、空腹を覚えた。
コンビニまでいって菓子パンを買ってきて食べる。
そうやっていると、寒くて海にでる気力がなくなってきた。
そこへSさんが戻ってきた。あんまりいい顔をしてないところを見ると、なんかあったのかな、と思って話を聞くと、オーバーセイルと浮力のない板で、ガスティなインサイドでコテンパンな目にあったらしい。
――なるほど。
最終ラウンド。
そう気合いをいれて海へ。残っているのは知り合いではT橋くんとぼくだけだ。
風は落ち気味だけれども、はまったときよりはある。
ジャイブ。ジャイブ。ジャイブ――全然、思い出せない。セイルの引き込み? ちがう。視線――うまくない。なんだか、わけがわからん。そうこうしているうちにT橋くんの姿が消えた。上がったのだろう。
ぼくも上がろうかな、と思ったが、沖ノ島より風下のラインに落ちてしまっていた。それから何度、往復しても沖ノ島の風上側にたどりつけない。しかたないから菊名海岸の風下に帰着するか、と思いつつも、あきらめきれず、往復。
その途中で一本だけジャイブがうまくいく――わかった。内傾させすぎていたのだ。
目標の四時もまわってしまう。
戻るときにプレーニングできていれば、あっさりクリアできるのに――と思いながら往復をくりかえしてどうにかこうにか、沖ノ島の風上側を通過して菊名海岸へ帰着した。
T橋くんがすっかり着替えてしまっていた。
知り合いみんな待っていてくれたらしく、ぼくが到着すると、じゃ、ジョナサンにいるからといい残していなくなってしまった。
暗くなっていく海岸でひとりさびしくお片付け。
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Takehiro Yamada