
外れ馬券に雨が降る
2003 年 6 月 21 日(土)
本栖湖FANビーチ
晴れのち曇り
Sail:Expression 6.7(NEIL PRYDE) Board:NG ACP 260
読みは御前崎だった。
今日、吹くのは御前崎しかない――梅雨前線は大きく南下していて全国的に晴れる。だから本栖湖も吹く、とは考えなかった。台風が日本列島を横切ってこの時期にはめずらしいゆるいが、西高東低の気圧配置になっていたのだ。
等圧線はほぼ上下方向(南北方向)にのびている。
典型的な御前崎が吹く気圧配置だった。
そして、ぼくの経験則では御前崎で西風が吹くとき、本栖湖は吹かない。
二年前のことだ。
Tと本栖湖へ確実と思ってきたのにもかかわらず、外したことがある。その日、某有名なNさんという女性ウェイブライダーも本栖湖へきていたらしいのだが、御前崎が吹いていると聞いて御前崎へ移動したという。
等圧線がこみあっているような状態ではなかったので、どん吹くというわけにはいかないだろうが、5.0m2 では乗れるだろう。
すこし寝坊して東名高速を多めにつかって御前崎へ向かう。
大井川をこえた。
風がない――あまり吹いていない。そこへF島さんから電話。楽しそうな声で本栖湖は吹きそうですよ〜、などという。タイミングが悪かった。風がない、と思ったところへその電話だ。意志が揺れた。
今日一日、御前崎でウェイブを楽しみ、夜のうちに本栖湖へ移動して日曜は本栖湖で乗る――日曜の本栖湖はかなり確実と考えていた――そうウィークエンドの予定はたてていたのだ。それが最初からつまずきそうだ。まさか、御前崎が吹いていないとは。
低気圧の移動が予想よりも早かったのか――低気圧の移動速度は日本列島の北のほうになればなるほど、速くなる――西高東低がゆるんでしまったか。
千浜東へ到着した。
ウィンドサーファーはひとりもいなかった。波は胸肩か――あまりきれいな波ではなかったが、パワーはありそうだ。問題は風だ。
ない。
いや、吹いているのは吹いているのだが、7m2 ぐらいのセイルは必要なように見えた。
太平洋に向かって右手の菊川の沖合いにでているセイルが一枚だけ見える。一応、プレーニングしているようだが、やはりセイルは大きそうだ。菊川河口へ移動して海をチェック。さっき見えていたセイルはプレーニングしなくなっていた。
5.8 で出艇するセイラーがいたが、アウトにでるまで一度もプレーニングしなかった。
しまった。外した――が、御前崎が吹かないのなら本栖湖は吹く。
駐車場から車をだして一路、東名高速を西進。
本栖湖には正午をすこしまわったくらいに到着できた。
まったいらな湖面。そして、気温が高い。やばい。裏目を引いた。瞬間、直感した。本栖湖へきているF島さん、T、S永さん、N沼さんにお邪魔する。一年ぶりぐらいのN村さんもきていてその輪のはいってくる。さすがに、ここからさらに御前崎へ戻る気力はわいてこなかった。
それでも二時近くになってFANビーチの風上に南系の風がはいりはじめる。
さすがにひさしぶりだというN沼さんの動きははやかった。フォーミュラのセットを準備する。
N村さんをのぞいてみんな湖にでたが――風はそれほどあるわけではなかった――、ぼくはサマーチェアで居眠り。一気に四百キロ近くのドライブはさすがにこたえた。
夕方に目をさまし、すこしだけブローのはいりがよくなったように思えた。
せっかくきたんだから、とN村さんも出艇の準備をはじめた。
ぼくはフォーミュラをだしたところで湖面を見て考えをかえた。やはり NG 260 にしよう。ブローさえつかめれば――。
迷った末のため、用意ができたときには五時になっていた。
出艇。
次々に帰着してくる知り合いを尻目にセイリング。もちろんプレーニングするわけがない。風は西にふれてしまっていた。
何もかも終ってしまっていたのだ。
車中泊をして翌朝、起きていくと、F島さんがぼくの顔を見て笑う。
「山田さんにはいわない方がいいかな」
そのいいかたにピンときたが、あえて問いたださず、一泊組で本栖湖へ――そこであらためて問いただした。予想はしていたし、聞いてもたいしてショックを受けるとは思ってなかった。
昨日、御前崎は吹いたらしい。
前述の某有名なNさんが掲示板に書きこんでいたという。波は肩で、5.0m2。
自分の顔から表情が消失するのがはっきりとわかった。
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Takehiro Yamada