
ホモ・ルーデンス
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2003 年 5 月 10 日(土)
本栖湖FANビーチ
晴れ
Sail:SOUL 6.2(NEIL PRYDE) Board:NG ACP 260
風はまだ弱く、安定もしていなかった。ブローをつかみ、うまくプレーニングするセイラーがTも含めて結構、いたとしても。DROPS 9'6" を手放してしまったぼくにはまだ、無理だ。本栖湖湖畔に腰を下し、デジカメでTのセイリングを撮影しながら風が上がるのをぼくは待っていたが、もう時計は二時を回ってしまっている。
KBから携帯へ電話があり、話しているときだった。
ブローが単発ではなく、連続するようになってきた。
3時前。
風が上がった。
そのため、急に気温が下がったように感じられた。
セミドライに着替え、NG 260 を片手に湖畔へ。
セイルは 6.2 をセットしておいた。水は富士山の雪解け水のため、非常に冷い。NG 260 は今日はじめておろす。浮力は不明だ。100L ぐらいだろう、という話はイワモトのホームページで読んだ記憶がある。手持ちのラインナップだと、WAVE 265 と使用用途がかぶるか、微妙なところだ。たぶん、NG 260 の方が浮力はあると踏んでいるのだが。
NG 260 はボード全体に厚みをもたせて浮力をかせいでいるという感じだ。
風が足りない中、出艇した。
ぼくの体重を乗せて浮いていられるだけの浮力はあった。バランスをとりながら岸から離れていく。ブローをつかんで一瞬、走り出した。フットストラップに足をいれた。しまった。ゆるい。すぐにブローは抜け、停止――セイルのせいもあるのだろう。走らせ方がいまいちつかめない。
しばらく行ったり来たりした。ノンプレーニングでも浮力のあるおかげである程度、上りをとりながらセイリングすることができた。他のセイラーはかなりガスティなコンディションだが、だいたいプレーニングしている。
スタボーで沖へできいくときに、ようやくプレーニングにはいる。
ハーネス、フットストラップ――ブローラインの切れ目になる手前でジャイブ。膝をいれて内傾してカーヴィングした。体軸方向にかかる遠心力。水面にくいこんだレイル。ボトムからの反発力。瞬間、あまりの気持ち良さに目を見張っていた。思わず、歓声が迸る。
「わひょおおおおっ!」
エンドルフィンが頭の中で爆発した。
そのまま、セイルを返すのを忘れて沈してしまった。
その一本があまりにも気持ちよかった。
もしかしたら、と推測する。これがボトムターンの快感でもあるのではないか、と。
ストレートロッカーを持つスラロームボードのジャイブとはまったくちがうテイストの快楽だった。
ジョイントの位置をすこし前に移動して乗りつづける――といってもほとんどプレーニングは三割ほど。そして、プレーニングしているときの方が上り角度をとれない。スケグが抜けることも頻繁。それよりも強引に上りをとっているとき、風の振れなのか、強弱のせいなのか、セイルがブレることがある。カム付きのセイルとちがってフォルムが固定されないためだろう。風にたいするセイルのアタックアングルの変化が大きいため、失速がはやい。
本栖湖のようなコンディションはカム付きセイルの方が――アタックアングルの幅が大きいので――合っているのかもしれない。
今日の本栖湖はこの時期にしてはブローは弱く、ガスティがはげしかった。
真夏の本栖湖に近い――そんな中でもなんとか、自分の道具で乗れることが判明。Tのように三時間、ぶっ通しで乗るなんで真似はできそうにないが。これは道具よりも肉体的能力の差だ。Tの筋肉の八割は赤筋ではないか、と思うほど、彼は延々、乗りつづけている。
毎度、思う。
――化物だ、と。
結局、ジョイントは元の位置に戻し――イワモトの指定のポジション――、ぼくも乗りつづける。ジャイブ、キックジャンプをそれぞれ数度ずつ。
やがてセイルが破れてしまっているのを発見して、それでも乗っていたが、日が陰ってきたのを機に、上がる。
それでもTはまだ、セイリングしていた。
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Takehiro Yamada