雨の降る日はそばにいて




2003 年 4 月 5 日(土)
三浦菊名海岸

Sail: ZONE 4.7(NEIL PRYDE) Board: NG ACP 255



 布団の中で雨の音を聞いていた。かなり激しい音だ――海に行きたくねぇ……。このところウィンドをしてないので、海へ行くのが億劫でしかたない。今日はEast Sla 第一戦だ。エントリーするんじゃなかったな、と思いつつ、もうひと眠り。フル高速を使ってぎりぎりに間に合う時間に目をさましてレース会場の三浦海岸へ。
 三浦の海は豪雨の中、真っ白になっていた。
 運営の船をだせるようなコンディションには見えなかった。運営をやっているTに連絡してみると、案の定、中止だという。ああ、高速代。それよりも自堕落に眠っていたかった。
 菊名海岸へ移動する。
 実連事務所はめずらしく満員御礼だった。
 F島さん、N沼さんが出艇しようとしているとのこと――好きだなぁ、とあきれつつ、することもないので見にいく。F島さんがオーバーに苦しみながらセイリングしているのを見ているうちに、いつのまにか、ぼくはウィンドのセッティングをはじめていた。
 ――まったく、何を考えているんだか……。


 海面にはF島さん、N沼さん、K地さんがでている。
 ぼくも出艇した。
 寒い。
 しかもビーチに戻ってくるとき、雨滴が顔面に突きささって非常に痛い。顔の半分が一瞬で無感覚になってしまう。目もあけてられない状態だった。
 すぐに海から逃げだす。
 一本、いっては車の陰に逃げ帰る。
 一度、ビーチに向かっていると、すぐそばの波間に人影を見えたように思った。だれ?――暗礁だった。やばい。ぎりぎりを擦過したが、あやうく NG の強度テストをしてしまうところだった。
 昼近くに、あまりの暴風にセイルを引きこむこともできなくなってしまった。
 撤収。道具をばらして車に積み直して今日のレポートでも書くか、と思い、近くのジョナサンへ行く。パンケーキをつつきながらぼんやりと店のウィンドウごしに見える海を見ていた。あいかわらず、吹いているが、雨があがってきているような気がした。風も少し落ちたように感じられる。
 なにより、菊名海岸の風下側から出艇しているウィンドサーフィンが五艇ほど。楽しそうに行き来している。しばらく考えた。綻びた恋を繕う趣味はないはずなのだが、菊名海岸へとって返す。
 N沼さんもK地さんもF島さんのいなかった。
 F島さんは実連事務所にいたが。
 そして、ぼくはドライスーツに着替えてセッティングをはじめているのだった。
 ――まったく、何を考えているんだか……。


 風向きが微妙にかわったのかもしれない。
 ビーチ近くの海面には風がはいらなくなっていた。
 苦労してそのエリアを抜けると、とんでもない強風。絶句するしかなかった。
 T、F島さんも海にでてきた。4 のセイルに若干、ボリュームのある板という組み合わせで喜々と乗っている。F島さんは快感度が低いなぁ、とぼやいてはいたが。
 ぼくはもう腕も腿も腓もいつつってもおかしくない状態だった。身体が悲鳴を上げていた――つくづく、レースが中止になってよかったという気分になる。コンディションもあるが、体力は最低だった。あるのは体重だけだ。
 一時間ほど乗って上がる。
 もうだめだ。また、セイルが引きこめないぐらいに風があがってしまった。終わり終わりっ。Tがセイリングしているのを横目に道具を片付けた。


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Takehiro Yamada