
屈辱、再び
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2002 年 3 月 3 日(日)
伊豆白浜
くもり
Sail:CORE 5.3(NEIL PRYDE) Board:NG ACP 255->WAVE265(MISTRAL)
先週とよく似た気圧配置の予想天気図だった。
三浦は吹く。先週と同じように。
それはわかっていた。
しかし、たしかめてみたいことがあった。先週、たしかめそこねたこと――この天気図だと伊豆白浜は吹くのではないか、と。
朝の五時に起き、アメダスの風情報を確認してみた。吹いているようだ。伊豆半島突端は。三浦よりも強い。
よし。行ってみよう。
小田原厚木道路、国道 134 号線と使う。伊豆半島を南下しながら時折見える海に酔っぱらったようになる。白波がたち、あきらかな強風モードだ。4.1 のセイルを使うことになるかもしれない、と思うと鬱な気分になってきた。かなりハードなコンディションではないだろうか。
途中、F島さんからメール、Sさんから電話があった。
伊豆白浜に向かっているところだというとSさんは一瞬、絶句した。
伊豆白浜には八時前に到着した。
約二時間半の行程。なぜか、御前崎菊川よりも一時間、短かいのに遠く感じられる。
駐車場はまだ開けられてなかった。コンビニへ行き、食料を買う――改めて駐車場へ行ってみると、すでに五、六台の1BOXカーが駐車していた。
風、波ともにあるように見えた。
が、4.1 のセイルということもなさそうだ。
波打ち際にボード―― NG ACP 255 ――を持って行ってみて思った以上に風がないことに気づく。他のセイラーは 4.7 を張っているのがほとんどだ。ぼくは 5.3 を選択。まだ、三人ぐらいしか出艇していない中、ぼくも出艇した。腰ぐらいのスープを越えたところでアウトにでれた。ハーネスをかけてプレーニングして沖にラインを延ばす。ハーネスのポジションがずれている。右腕がパンパンになってくる。少しオーバーぎみだが、乗れる。だいじょうぶだ。沈しながらも方向転換してビーチに戻ると出艇した所へ戻れた。
右腕の筋肉をほぐしながら車に戻って水分を補給した。
そして、ビーチへ。
海では肩から頭ぐらいの波にフロントサイドのトップターンをしている。うまい。波質が菊川よりもいいのだろうか。きれいなライディングだった。それとも単純に個人の能力だろうか。
ハーネスのポジションを調整して再出艇した。
波越えの途中で風が抜け、失速。そのまま、体勢を取り戻せず、ビーチに押し流されてしまう。風上に移動して再挑戦――また、波に潰された……何か変だぞ、と思ったが、どうすることもできない。何度もゲッティングアウトしようとするが、アウトの手前で潰される。風が抜けるのだ。それに対応できない。へただ。
失速した状態で波に叩かれ、180 度、ボードの向きをかえられてしまうことも度々だ。
ちくしょう。
くりかえしくりかえしくりかえしゲッティングアウトしようとした。
気づくと 11 時になっていた。一度もセイリングできずに二時間が過ぎていた。
一時的に波のサイズがかなり上がり、オーバーヘッドになる。その波での息を飲むようなライディングを呆然と眺めた。
正午のサイレンが鳴るころにはかなり風が落ちてしまった。
板をボリュームのある MISTRAL の WAVE265 をひっぱりだした。
今日は終わりだと思っているのか、ほとんどのセイラーが駐車場へ引き揚げはじめている。
WAVE265 で出艇してもっと早く板を変えるべきだった、と後悔した。WAVE265 でもつらいぐらいの風だった。それでもさすがにフローターなのでじりじりと出ていける――スープリフトでスープを越えることができる。
崩れる寸前の波を越えた。胸ぐらいのサイズだ。ブロー。しかし、プレーニングさせることができない。目の前で波が盛りあがってきた。肩ぐらいある。やばい。タイミングが非常にまずい。崩れてくれ、と祈るもだめ。逃げることもできない。
フルプレーニングしているならばっちりのタイミングで波にミートした。
「わーっ」
喚きながら崩れる瞬間の波のトップでセイルと自分の身体を前方に投げだす。
どんっ、と波が崩れ、巻かれた。水中に道具ごとおしつけられる。長い。なかなか水面にでない――息がつづかなかった。水を蹴り、道具の沈める反動で水面にでた。ぎりぎりだった。でる寸前に口を開いたため、海水を飲んだ。潮味がした。
激しく咳こみながら次の波に押し流された。
再挑戦したが、まったく同じ状況で波に潰される。
それであきらめた。
もう一度、同じ状況で潰されたら道具か、自分の身体が壊れる。そんな気がした。
風は落ち、スラローム + ビッグセイルなら走るような風になる。
かなり鬱な気分で帰路につく。
何度か渋滞に出会い、家についたのは六時をまわっていた。結局、帰りは五時間かかった。途中、仮眠したとはいえ。
これだけの移動時間をかけてわざわざ訪れ、三浦と同じく午前中しか乗れないとなる、とあまり白浜へ行く意味はないな。三浦で乗ればよいのだから――。
ほとんどあのブドウはすっぱい状態になっていた。
何度も腕のなさをカバーするためにもっとはやく浮力のある板にかえるべきだった、と反省する。それをできなかったのは波のサイズだった。あの波ではでかい板ではきついだろうと思ったのだ。実はそれ以前の問題だった。まさかゲッティングアウトできないとは――。
シンカーのボードをまだ、全然、乗りこなしていない。
風呂にはいり、全身の潮っけを抜いているうちにむかっ腹が立ってきた。
――ちくしょう。リベンジだ。
もしかするとそれは来週になるかもしれない。
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Takehiro Yamada