
最後にひと吹き
2001 年 12 月 24 日(月)
御前崎菊川河口
晴れ
Sail:CORE 5.7(NEIL PRYDE) Board:WAVE265(MISTRAL)
前日の予想天気図によると、低気圧が日本海に発生していた。
西高東低の冬型ではなく、南西が吹く気圧配置だったが、イワモトの西風予想では 11 時から御前崎は吹き出す予想になっている。低気圧が日本列島を越え、太平洋側に移動する予報がどこかにでているのだろう。
そうすると、2 時か、3 時ぐらいになるかな――そうぼくは考えていた。
というのも日中、低気圧が日本列島を越えるのはめずらしいみたいだからだ。海と陸との温度差が低気圧を動きを抑えてしまうのだろう。予想天気図は低気圧の移動速度からわりだされるのだろうか。よく日中に低気圧が日本を横断する予想がでるが、それが的中した記憶はない。
そういうわけで菊川――今日はプールサイド脇の駐車場だ――に到着してもぼくはのんびりとしていた。Tの車でひと眠りする。その間にF島さん、S野さんは出艇してしまったらしく、午後、目を醒したときはTしか残っていなかった。
Tも出艇の準備をしているところだった。
脳味噌がぼんやりする。
ふらふらと海を見に行く。けっこう出艇していた。風はそこそこしかない。大きめのセイル、ボリュームのあるボードの組み合わせというところだろう。見た感じ菊川河口のあたり、風上の三浜ではけっこう走っているようだ。目の前の海面のウィンドは走っていないように見えるのはなぜか。同じ風なのに。
一応、乗れそうな気がしたのでセッティングした。ニールプライドの CORE 5.7 にミストラルの WAVE265 ――出艇してみると、それでもかなりアンダーな感じだった。ほとんどプレーニングしない。
インサイドに戻ってきたところで、波にあわせてようやくプレーニングすることができる程度だ。そのうちに、必死でパンピングしても波に乗せることができなくなるぐらい風が足りなくなってしまう。
海に出たのが、遅かったので気づくと、三時をまわっていた。
終りかな。
そう思ってセイルをトイレ脇の水道で洗う。洗い終ってセイルを乾かしているときだった。Tが満面に笑みを浮かべて近づいてきた。
今から海に出るという。
風が上がったのだ。ようやく冬型がきまったのか――あわてて見にいくと薄暗くなった海で数艇のセイルが気持ちよさそうにプレーニングしていた。迷った。陽が翳りはじめているのだ。寒いかもしれない。さらに風が上がり、5.7 では乗れないくらいになるかもしれない――不安要素は多々あったが、結局、出艇した。
ジャストからアンダーとオーバーの間を上下する風だった。
不思議なことに寒くなかった。沖で沈すると、むしろ微温いと感じるくらい水温があった。
三日間の憂さをはらすべく、セイリングしまくる。
あいかわらずインアウトともにジャイブはへただし、波も小さいぐしゃ波だったが、徐々に風に気づいたセイラーが少しずつ増え、海は賑やかになってきた。だれもがあけっぴろげな笑みを浮べている。
沖合いから富士山が茜色に染まっているのが見えた。
もしかしたらその照り返しでわずかばかり海は明るかったかもしれない。
Tとからんで走ったときに気づいた。Tが乗っているのは強風用スラロームの板だったことに。全然、問題なく、セイリングしていた。
先にTが海から上がった。
そののち、風がオーバーぎみに感じはじめたのを機にぼくも海から上がる。
駐車場にウィンド車は十台といなく、 P社のIさんも含め、最後の狂宴に残った車ばかりだった。
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Takehiro Yamada