サルガッソー・イン・三浦




2001 年 02 月 04 日(日)
三浦菊名海岸
くもり
Sail:V8 7.5(NEIL PRYDE) Board:DROPS 9'6"



 車の中で目を醒ますと、猛烈に喉が痛い。
 風邪?
 まあ、しかたないか。昨日は御前崎にいって日帰りで三浦まで戻ってきて車中泊したのだから。疲労からいっても風邪にかかったとしてもおかしくない。
 窓を見ると、Sさんが窓ガラスをノックしていた。
 吹いてるよ、という。
 それはよかった――それはよかったけれど、やはり喉が痛い。
 昨日は御前崎に一泊する予定だったのだが、ショップ・イワモトの西風予想では吹かないとのことだった。予想天気図を見るとたしかに吹きそうにない――西高東低なのだが、微妙に御前崎近辺で等圧線が乱れてしまっているのだった。中国大陸にある高気圧が強まるか、太平洋の低気圧がもうすこし南にあれば、御前崎は吹きそうなのだが。
 ただ、どう動いても関東あたりの冬型はだいじょうぶそうだった。
 いずれにしてもTがウェイブ・ボードを壊してしまっていたので関東には帰らなければ、いけなかった。もっとも三浦に車中泊したのはぼくだけである。Tは奥さんのいる自分のマンションに戻った。朝はやくでてきたのだろう。ぼくが車からねぼけた顔ででてくると、セイルをセッティングしていた。
 海を見ると、津久井浜のほうでは白波がたっている。
 菊名海岸も沖のほうはけっこう吹いているようだ。
 S田さんがやってきた。昨日は御前崎の千浜で乗っていたという。そうかぁ。今日は御前崎は吹いていない、という情報もS田さんがくれた。移動は正解だったわけだ。
 もっともウィンドサーファーにとってだけど。


 TとSさんはスラロームのセットだ。7台のセイルを張っている。
 沖は吹いているから、とS田さんはフリーライドに6台のセイル。
 ぼくもDROPSのボードにニールのV8というスラローム・セット。ちょいと出遅れた。TとSさんが快調にプレーニングしているのを後目にセッティングを終えてどうにか、出艇。風はちょっとなくなりかけている感じだった。
 それでもブローをつかんで走りだす――ずいぶんとひさしぶりのスラロームなのですっかり走らせ方を忘れてしまっていた。しかもワールドカッパーをきどってウェストハーネスにしてみたので感じがちがう。
 普通、ブローがあたっている海面は縮緬になって黒っぽく見えるのだが、なぜか目の前の海面は、エアホールになったように平らなになっていた。一瞬、へんだなとは思った。そのすぐ風上側の海面は縮緬になっていたからだ。
 突っこんで一瞬、パニックった。
 突然、海面が粘土になったみたいにふにゃーっとボードに制動がかかってしまったからだ。つんのめるように前に倒れた。ブームをボードのノーズにぶつけてしまってあせったが、ボードは無事だった。
 沈して驚いた。
 海草である。すごい藻だ。しげっていやがる。
 そのサルガッソー地帯のド真中に突っこんでしまっていたのだ。
 セイルアップしてとにかく、と思ってスタートした。すごい粘性だ。セイルは風をはらんでいるのにゆっくりしか、前進しない。それでもまったく動かないということはなさそうだった。腰を落としてセイルの重さに耐えながらどうにかサルガッソーを抜ける。
 海面がまったいらだったのは、縮緬程度は藻が吸収してしまうかららしい。
 そのまま沖の島の横を抜けてアウトにでると、風は 7.5 ではオーバーだった。
 まわりを見回してみたが、TとSさんのセイルは見当たらない。どうやら津久井浜にまで上っていってしまったらしい。
 ジャイブの練習をしながら追う。
 さすがに風は冷たい。
 風が落ちはじめているのがわかった。おかげでセイルがジャストになったは不幸中の幸いだった。何が不幸なんだか。
 ボードボリュームにもたすけられてジャイブはだいたい成功する。とくにスタボーからのジャイブ――御前崎ではアウトでのジャイブになる――は、後ろ足にきっちりとボードを感じることができた。ボードに体重がきちんとのっている証拠だろう。ちょっとうれしい――ただ、セイルの返しがいまいち。上体がひらいてしまっているような気がする。
 ポートからのジャイブは身体を前にもっていくようにしているのだが、どうもうまくない。ふと思いついてマストでボードを抑えこむようにしたらエッジが海面にくわれて沈。どうやらセイルの引きこみがたりなかったらしい。
 風もなくなってきたので方向転換をタックに切り換えて津久井浜をめざす。すっかりタックのやりかたを忘れていたのでタックのたびに沈。ようやく思いだしたころにはボードがプレーニングしなくなってしまった。
 津久井浜のほうで乗っている人たちも動きがわるくなっている。
 ふと見ると、Tが下ってきた。
 クロス。
 Tはボードを換えに菊名に戻るという。DROPSのFL11をだすつもりらしい。
 Sさんがまだ残っているだろうからぼくはさらに上る――ってさっきから同じところを行ったり来たりしているな。
 どうにかこうにか津久井浜の一番風下側にたどりつけそうなラインにのれた。
 いつも目標にする杭が前方に見えた。
 嫌な予感がした。
 海面がのったりと、まったいらなのだ。
 サルガッソー。
 また、突っこんでしまった。
 ひーっといいながらのったりと通り抜けると、今度はSさんが下りはじめるのが目に入った。せっかく追いついたと思ったら……。
 Sさんを追ってぼくも下る。全然、角度がちがっていてすっかり離されてしまった。


 結局、二時半ぐらいには風がなくなり、今日のウィンドは終了。


Return To HomePage | Return To List Page

Takehiro Yamada