アルコール




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 手術でアルコールを体内に注入することになったのだが、看護婦からこう確認された。
 ――普段、お酒、飲みますか?
 そう聞かれたならこう答えるしかない。
「飲まないです」と。
 看護婦は顔をひきつらせ、こまったという顔をした。
 ――そのことを先生は……。
 その顔は手術のやり方を変えてもらわなければ、まずいと語っていた。
 ぼくはため息をつきつつ、つけくわえた。
「飲めないわけじゃないですよ」


 「飲まない」は「飲めない」とはちがうと思うのだけれど、どうやら世間では「飲まない」は「飲めない」らしく、自分の予断を勝手に押しつけてくる。
 ――ああ、見た目に似合わず、下戸なんだ。


 この見た目というやつ。
 肩幅が広い体格をしていることもあり、酒に強く、大酒飲みという印象を他人はもってしまうのか、よくそのようにいわれる上、あまり飲まないというと、酒は嫌いなのだというあつかいを受けてしまう。
 世間様では酒を飲むことがデフォルトなのである。


 以上のことを考え、ふと不安になったのだが、ぼくがたんに無知なだけなのかもしれない。もしかしたら二十歳をむかえたら夕飯のあとにはかならず晩酌し、それに依存するようにならなければ、いけない。そのような暗黙のルールが存在するのかもしれない。
 しまった。
 そんなルール、守ったことないぞ。



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Takehiro Yamada