
アルバイトタイムス(2341)
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2006/04/24up
「アルバイトタイムス(2341)」から決算の報告が送られてきた。
減益のために無配とある。
ため息がでる。
改めてそのことを知らされるとさすがに――ニュースですでに知っていた――、がっくりきてしまった。なにしろ、生まれてはじめて買った株だったのだ。
某証券に口座を開設し、資金を入金した夜。
とりあえず、十万以下で取り引きできる株を探した。理由は簡単だ。十万以下の取り引きの手数料は無料だったのだ。スクリーニングしていくつかある会社の名前を見ていておや、と思ったのが「アルバイトタイムス」だった。
YAHOOの企業情報によると、「無料求人情報誌「DOMO!」発行。発祥の静岡県内では圧倒的」とある。
「DOMO」という求人情報誌には覚えがあった。
中を見て求人情報もチェックしたことがある。
ウィンドサーフィンで、遠州灘菊川へ行った折、ガストで見た。静岡県内で圧倒的というのがよかった。シェアがあるということはけして悪いことじゃない。たしか、ウォーレン・バフェットも地方の独占的な新聞社に投資していたはずだ。
というわけでさっそく、なんちゃって企業価値評価で理論株価を計算してみた。
かなりの割安とでた。
ええっ。どうしてこんなに割安で残されているんだ?
ただ、決算報告の中に気になることが記載されていた――首都圏へ業務を展開した、というのだ。うーん。情報誌はかなり過当競争ぎみの首都圏で充分なシェアを獲得できるとは思えない。
その点は非常に不安だったが、あまりにも割安でありすぎた。
はじめてということもあって興奮して買い注文をだした。
すでに夜中をすぎ、二時を回っていた。
翌日、会社を終えてどきどきしながらチェックしてみたところ、無事、購入できていた。しかも指値の値段より安くだ。ラッキー。次の日、さらに次の日と購入する。日をわけたのはもちろん、手数料をかけないためだった。
株価はどんどん下っていた。
2006年の二月の半ば頃で、相場は下げ相場になっていた。
日々、下がっていく株価に眩暈を覚えるほどだったが、問題はそれだけではなかった。
なんちゃって企業価値評価は独学だったのだ。ちゃんとだれかに学んだわけではなく、かなりの不安があった。おれの理解はだいじょうぶなのだろうか?
つくった表計算の式をチェックしてみて顔が蒼くなってしまった。
計算式がまちがっていた。うひゃあ。あわててそれを修正して「アルバイトタイムス」を計算しなおすと、ほんの少しだけ割安だとでた。
売っちまうか――株価は下がっているので今、売るとマイナスになる。一応、割安なんだと、週明けに、落ちた株価で株を買い足した。
いわゆる「ナンピン買い」というやつだ。
効果てきめんで、購入平均株価がそれでかなり下がった――それはつまりそれだけ、株価が落ちていたということでもあったのだが、それに気づくにはまだ、ぼくは若すぎた。
「アルバイトタイムス」の株、500株を抱え、じっと待つ日々。
その後、なんちゃって企業価値評価は次々に間違いが発見されたが、なんとか、少しだけ割安という線はかわらなかった。ただ、その日々の中で気になる情報を見つける。「アルバイトタイムス」は連結子会社だった人材派遣会社を売却していたのだ。
赤字事業だったので、売却したのかもしれないが、嫌な予感がした。
理由は簡単で、業績が悪化してるので、キャッシュ欲しさに売ったのではないか、という気がしたのだ。
ところが、そのうち、「アルバイトタイムス」の株価が持ち直してきた。
ナンピンしたおかげで含み益がでるほどに。
それだったらホールドするか、とのんびりしていたら三月になったとたん、株価がふたたび下落。一瞬で赤字になってしまった。
そこでようやく気づく。
「アルバイトタイムス」の決算月は二月だったのだ。株価が上昇していたのは配当狙いの買いがはいったからなのだった。
下落した株価はそのまま、安定してしまう。
でもまぁ、「アルバイトタイムス」の配当はわりとよく、前年は13円だった。500×13で6500円――それでいいか、と思っていたら、配当というのは一年に一度ではなく、中間配当というものがあることに、自分をなぐさめるために配当のことを調べていて知る。つまり、今回の二月決算では約半分になるということだ。
実はこのとき、他にもまちがったなんちゃって企業価値評価で割安と勘違いして買ってしまった株――「川崎汽船(9107)」があり、そちらも下落しているところだった。その株は三月決算だったので、三月末には配当狙いの買いで株価は上がる可能性もある、とは思えた――が。
ぼくはミスを犯したのだ。
買ってはいけない株を買ってしまったのだ。
そんな株を持ちつづけてもしかたない、と思いつつ、何度も迷い、希望を抱き、その精神状態が不愉快になって「アルバイトタイムス」ともうひとつのまちがって買った株を処分。「アルバイトタイムス」は7%の赤字で終わる。「川崎汽船」は三月末まで持っていれば、それなりに益がでたのだが……。
まぁ、配当の権利は取得したはずなので、「アルバイトタイムス」の配当はもらえる……それが唯一のなぐさめだった。
だったのに、無配!
唯一の救いは株価がすっかり下落してしまったことだ。いまだ所有していたら被害は甚大であった。
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Takehiro Yamada