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株価について




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2006/04/03up



 株をはじめる前――ほんの数か月前だ――、どうしても理解不能なことがあった。
 株価と会社の関係だ。
 株式会社は株券を発行することによって資金を得る。
 これはもっともベースの知識で、だれでも知っていることだろう。その資金を元手に会社は事業を行ない、利益を上げる。了解だ。ところが、株式市場に売られたその会社の株券は株価を上げたり下げたりするが、これは会社に何か影響を与えるのか?
 株価が上がったとしても、その会社の資金が増えるわけではない。
 当たり前だ。その株券は株券を購入した株主のものなのだから。
 もちろん、その会社が株価が上がったところで増資すれば――新たに株を売れば――それは以前よりも大きな資金を手にいれることができる。が、それが普通というわけではないだろう。株価は会社とは関係がまったくないのではないか。それとも買った株はその会社にもっていけば、時価で引きとってくれるというルールでも存在するのか?
 それがずっと二、三十年来の疑問だった。
 どうなっているんだ?


 株をはじめて、ようやくその疑問が氷解した。
 何のことはない。株価というのは株を発行した会社の価値をあらわすものなのだ。だからその会社の価値が高まれば、株価は上がるし、低くなれば、下がる。株価――時価総額というものはその会社の価値を表わす指標にすぎないのだ。だからライブドアの堀江元社長は会社の時価総額にこだわったのだろう。
 もっとも0点のテスト用紙に、「10」を書きたして百点に見せかけたようなものだったのだろうが。


 では会社の価値を株価にフィードバックしているのは何なのか?
 何が株価を適正に調整するのか――もちろん、それはくりかえされる株の取引そのものだ。株価が会社の価値より高いと思えば、売るだろうし(そのことによって株価は下がる)、低いときは買われる(株価は上がる)。そのくりかえしで、株価は会社の価値を表わす水準へ収束していく。
 おれは会社の価値なんて考えてねぇよ、というトレーダーは多いだろうが、それであっても株価は会社の価値を表わす水準へ収束する。なぜならノイズは平均化し、相殺されてしまうからだ。最終的に残るのは会社の価値との関連で選択される株価ということになる。
 このゆるやかなフィードバック構造から推定できるのは、株価が価値を反映するのには時間がかかる、ということだ。それは反映される前に、会社の価値が変化してしまうかもしれないということでもある。


 買った株券を会社へ持っていけば、買ってくれるわけではないが、その会社が清算されるとき、株券はその会社の価値の一部と交換されるだろう。実際にそうされるのか、どうかは不明だが。清算される会社を他の会社が買いとろうとするなら、株主から株券を買いとらなければ、ならない。なぜなら株券のその会社の所有権の一部なのだから。


 株価は会社の価値を表わしたものだ。
 そうであるなら会社の価値が増えていく会社の株を買えば、いいのだ、ということになる。ところがまさにそこに問題がある。


 株価がらみのコメントを読んでいると、よくこういういいかたと出会う。
 ――織り込み済み。


 たとえば、この会社は今後、成長するからと株を買っても、思ったほど、株価は上昇しないことがある(あるそうである)。多くの投資家がその会社は成長するだろう、と見込み、そのことをすでに株価に織り込んでいるからなのだという。つまり株価というのは現在の単純なフィードバックではなく、将来の可能性を含んだもの――フィードフォワードの構造も含んでいるのだ。
 これはある意味、当然のことなのかもしれない。
 会社には存続しつづけ、収益を生み出しつづけるという価値があるからだ。
 その価値すら株価には反映されるというのなら、株価はつねに変動するだろう。
 だれも確定的に未来を評価することはできないのだから。



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Takehiro Yamada