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記憶をたどる




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 たとえば、ちょっとしたエピソード、ちょっとした断片をふと思い出し、これってどこで見た、読んだ、聞いたもんなんだろうと思うことがある。むかしはわりあいすぐに思い出せたもんだったけれど、最近は思い出せなくて戸惑ってしまう。それはもちろん、年のせいだということもあるだろうけれど、それだけではないようだ。というのもかつては気にかかる断片の元はたいがい本だった――。マンガにしろ、小説にしろ。もちろん映画だったということもあるが。
 ところが最近はパソコンというのが頻繁にあるのだ。
 インターネットのどこかで見た読んだ情報。
 こまったことにこれらの情報は思い出しづらい。形がないからだ。本だとこんな形、色とかページの感じとか、表紙のイラストだとか、ページのこのあたりに書かれていたという記憶をたよりにたどっていけるのだが、ウェブブラウザで見たものというのは外形はどれも使っているウェブブラウザなので、記憶をひっかけられないようだ。ページの作りの雰囲気はあるが、ページという量の単位はないからこの辺に書かれていた記憶というのは全然、たよりにならない。
 これから時代が進んでいってすべての本の情報がたとえば、PDFファイルとかになってしまったら思い出すのはむずかしくなってしまうだろう。外形はアクロットリーダーになってしまうからだ。
 本を探すときだって本棚のこの辺という記憶で探す。
 パソコンにあるものはフル検索をかけるしか、今のところ手がない。
 問題はインターネットで見かけたものでこいつをどうするか。
 検索をかけるにしてももしかしたらなくなっているかもしれないし、検索にかかったとき、上位にでてくるとは限らない。あまり膨大な件数がひっかかった場合は何も見つからないと結局は同じだ。
 ブラウザのキャッシュを無制限にして(できるのか?)見たところのものはすべてローカルディスクに残すしかないか――で、検索をかける、と。
 無理だな。
 一生に必要とするディスク容量なんてだれも確保できないだろう。
 第一、だれかにそれを見られてしまったら恥かしい趣味が大バレだ。



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Takehiro Yamada