[PR]テレビ番組表
今夜の番組チェック




真崎守




(c) Copyright 2003 Takehiro Yamada . All rights reserved.



 ひさしぶりに真崎守の本を読んだ。
 「風漂花」という作品だが、この人らしさにあふれたマンガだった。かつて高校生のころに「はみだし野郎の伝説」という作品にふれ、痺れ、金がなくて真崎守選集を買えなくてずっと指をくわえて眺めていた作家だった。それでもなぜか、真崎守選集のうち、「共犯幻想」の 2 巻と 3 巻だけは買っていたが。
 ずっと 1 巻の内容が気になっていた。
 それが解消されたのは五年ほど前だ―― 1 巻を手に入れたわけではなく、あらためて上下巻に復刻された「共犯幻想」を古本屋で購入してだった。
 実をいうと、もう「はみだし野郎の伝説」のような真崎守のマンガには出会えないのか、と思っていた。というのも田中光二の「エデンの戦士」を真崎守がマンガ化していて連載中、毎週、楽しみに読んでいたのだが――真崎守らしくなかった。それを見て真崎守はかわってしまったのだと考えていた。時代が変わり、真崎守も変わってしまったのだ、と。
 ところが「風漂花」はそうではなかった。
 かつてのナイフで人を刺すような鬱屈したものは変質し、禅問答のような面が表にでてきているが、まぎれもなく真崎守だった。
 たとえ「風漂花」の奥付の日付が「昭和」だったとしても。


 今までにぼくは二度ほど、マンガ家に憑かれたことがある。
 急にそのマンガ家のことを思い出してひたすらその作品を探して読みふけるのだ。
 最初は諸星大二郎だった――週刊ジャンプで読んだ「生物都市」と「妖怪ハンター」のことを思い出して当時、出版されていた単行本を買い集めた。次が福本伸行で、こちらは何を思い出したのか、さだかではないが、おそらく「天」だろう。というのも福本に憑かれたときにはまだ、「カイジ」の連載はおろか、「アカギ」すらはじまってなかったからだ。「天」の中で、アカギは登場していたように思うが。そこでひたすら読んだ福本の作品は「銀と金」だった――これは本当にひたすら読んだ。
 どうやら三人目らしかった。
 症状として顕著なのは我慢できずに、夜中でもあっても本を探しにでかけてしまう。
 真崎守の新刊はさすがに期待できなかった。ただ、万が一の場合はアマゾンがあるので新刊に関してはカバーできる――事実、「風漂花」はそうやって見つけた。
 古本屋か……。
 うーん。
 車を出し、BOOK-OFF を二軒、ハシゴした。
 ない。
 なあんもない。「エデンの戦士」でも買うぞ、と思っていたのに。
 真崎守のカケラも見当たらない。
 で、気づいた―― BOOK-OFF というのは古本屋ではないのだな、ということに。


 古本屋といえば、手にはいらなくなった――たとえば、絶版本なんかを探す場だ、と思っていた。ところが BOOK-OFF にはその手にはいらなくなった本がそもそも、ない。これはマンガだけではないようだった。小説、評論などの単行本も同じだ。あきらかに、たぶん五年ほど前ぐらいまでの本ばかりだ。新刊本も多い。ちょっと古くなると 100 円コーナー行きなのだろう。つまり、BOOK-OFF は本屋よりもちょっと安く本を手に入れるための場でしかないのだ。古い本を探しても無駄というわけ。そっかぁ、と妙に納得した。
 そして、昨年、見たときよりも 100 円コーナーが拡がっていることに気づいた。
 本が回転しなくなってきているのだろう。
 ということはけっこう収支はトントン、場所によっては潰れている店もあるのかもしれなかった。
 そんなことを考えていたら店内放送が反論してきた。
「―― BOOK-OFF は全国 1000 店舗を目指しています」


 問題は真崎守だ。
 つげ義春のように、作品が復刻される可能性はあるが、それは「共犯幻想」や「はみだし野郎の伝説」などの有名な作品だけだろう。学研のコースなどに連載していた作品などは日の目を見ないだろう――そういえば、急に思い出した。「ホモ・ウォラント」だったか、「飛ぶ人」という意味のタイトルの作品とか、カビが全世界の機能を停止させてしまう話とか、ダウンタウン・ブギウギ・バンドの「港のヨーコヨコハマヨコスカ」をテーマソングにしたマンガとか――何よりも当時、PTA(だったか、教育委員会だったか)に呼び出されるほどの問題になった作品――生徒が教師を刺すシーンがあるということだったが、もしかしたら「共犯幻想」のことか? 短編マンガだと聞いているのだが――とか、耳なしほういちの真崎守版という作品とか――。
 Google で検索してみてそれなりに古本が存在していた。ネット販売で買うことも可能だが、送料が本代の半分以上を占めんじゃなぁ……。振込み手数料を考えたら倍近くになる。
 これはやはり古本屋巡りをするしかないのかもしれない。


 後日談。神田の古本屋で「キバの紋章」を手に入れることができた。



Return To HomePage | Return To List Page

Takehiro Yamada